2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720125
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 功眞 日本大学, 文理学部, 准教授 (00339235)
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Keywords | 日本語史 / 古辞書 / 漢和辞書 / 倭玉篇 / 大広益会玉篇 / 字彙 |
Research Abstract |
中世から近世にかけて編纂された漢和辞書群に就いて日本語史の資料性を明らかにすることを主たる目的とする。その目的ために、近世漢和辞書について所蔵調査等を通して代表的な諸本を決定し、その記載内容を比較検討しようとするものである。また、中世の『倭玉篇』諸本の展開を踏まえた上で、本研究によってもたらされた近世の『倭玉篇』・漢籍和刻附訓字書・画引き字書類の系譜の結論から、近代に成立した漢和辞書の前史が明らかになるものと予想している。前年度初めに本計画に関する2点の先行研究が明らかとなり、それらで参照されている『江戸時代流通字引大集成』に採録されている諸本の位置づけの検討は今年度も継続して行った。今年度中頃に和刻本である『寛永八年版大広益会玉篇』の和訓の典拠に就いて、『夢梅本』および『寛永五年版倭玉篇』との関連性を明らかにすることができた。また、近世画引の漢和辞書のうちごく初期のものである『寛文四年版袖珍倭玉篇』に就いて考察を行った。画引きは中国字書『字彙』に代表され、『康煕字典』の方式として現在でも継承されているものであるが、日本での初期段階では『字彙』などとは異なる部首排列と画数意識によるものが見られることを明らかにした。具体的には例えば「出」を8画とするなどと言ったものである。そして、和訓は『倭玉篇』の中でも『慶長十五年版』に代表されるものの継承をしていると言ったことが認められた。
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