2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルにおける日本語教育史構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
20720140
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中東 靖恵 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (90314658)
|
Keywords | ブラジル / コロニア語 / 南米の日系社会 / 言語接触 / 言語変容 / 海外の日本語 / 日本語教育史 / デカセギ |
Research Abstract |
本年度は、主に1980年代以降から現在に至るまでを対象として資料収集を行った。この時期は、戦後移住も途絶えて移民の時代は終焉を迎え、ブラジル日系人の日本への還流、いわゆる「デカセギ・ブーム」が始まった時期である。ブラジルでは、1980年代後半から、初等・中等教育機関における外国語教育プログラムや高等教育機関における日本語講座の開設などにより、公教育機関における第二外国語としての日本語学習者(主に非日系・成人学習者)が増加し、従来の日本語教育とは大きく様変わりした。かつて、ブラジルの日本語教育と言えば「日系子弟への日本語(国語)教育」、すなわち「継承語教育としての日本語教育」であったが、すでにこの時期、日本語からポルトガル語への言語シフトが完了した日系社会においては、学習者だけでなく日系の日本語教師にとっても日本語はすでに外国語となっており、実質上「外国語教育としての日本語教育」へと大きくシフトしつつあった。 このようなブラジルにおける日本語教育のパラダイム転換、第二外国語教育としての日本語教育へという新たな方向性は、デカセギ現象によっても後押しされ、とりわけ1990年代後半以後顕著となり、日系社会における日本語観・日本語教育に対する意識にも大きな変化を及ぼした。その歴史的変遷を「ブラジル日系移民にとっての「コロニア語」」(『日本語教育史論考第二輯』2011年6月、冬至書房)および"Japanese Immigrants in Brazil and 'Colonia-go':Japanese as an Immigrant Language"(Global Migration and Ethnic Communities:Studies of Asia and South America,2012年2月,Trans Pacific Press)としてまとめた。
|
Research Products
(3 results)