2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の英文読解において接続語句が概要把握に及ぼす効果と指導への応用
Project/Area Number |
20720148
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 周 Aichi Prefectural University, 外国語学部, 准教授 (50305497)
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Keywords | 英語教育 / 英文読解 / 接続語句 |
Research Abstract |
平成21年度はこれまで構築した理論的基盤に基づき、テクスト情報間の論理関係がCausal関係またはAdditive関係のいずれかに属するのならば、特に「Causal関係を構成する情報のつながりの向きがEFL読解に影響を及ぼす」という仮説を立て、日本人EFL学習者を対象として検証を試みた。 実験は、読み手の読解能力、Causal関係を構成する情報のつながりの向き(forward/backward)、Causal関係を明示するlinguistic markersの有無、という3つの要因が英文読解中のCausal関係把握に及ぼす影響と、読後にCausal関係を問う設問のタイプ(記述式/選択式)からCausal関係把握の強さの違いを見出すことを課題とした。 結果から、対象となった日本人EFL学習者は、Causal関係の把握能力が選択式問題に解答できるレベルにとどまり、記述式問題に解答できるほど明確にCausal関係を記憶していなかったことが明らかになった。このことから、読解において論理関係の把握が重要であるものの、どの程度までそれを意識するかは、読みの目的によって異なると指摘した。さらに、読み手が情報間にcause→resultの向きでCausal関係を予測すると指摘する先行研究にも関わらず、本実験では情報のつながりの向きの影響は顕著ではなかった。むしろ、テクスト中にmarkersがあれば、読解能力が高い読み手はそれらを読解中適切に利用してCausal関係をよりよく把握することがうかがえた。このことから、読み手はテクスト間の情報のつながりを予測するよりも、むしろそれらの手掛かりを探しながら読み進むことが推察された。「markersを読解中に効果的に利用できるかどうか」が論理関係把握力、さらには読解能力に差をもたらす要因の1つであることが裏付けられたと言える。
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Research Products
(2 results)