2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 奈津子 The University of Tokyo, 史料編纂所, 助教 (60376639)
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Keywords | 比較歴史学 / 東アジア / 儀礼 / 律令制 / 森川杜園『正倉院宝物写』 / 大唐元陵儀注 / 天聖令 / 慶元条法事類 |
Research Abstract |
1、新発見史料である北宋天聖令のうち、儀礼関連篇目を中心に検討した。天聖令の新発見により、儀礼関連篇目に関しては、従来の予想以上に、日本令が唐令に依拠していたことが判明している。今回は南宋期の法典である慶元條法事類との比較から、南宋にいたるまで唐令の制度がほとんど変化することなく存続していたことを明らかにした。その成果は、論文「慶元条法事類と天聖令-唐令復原の新たな可能性に向けて-」(中国語訳文「《慶元條法事類》與《天聖令》-唐令復原的新的可能性-」)にまとめた。 2、二〇〇〇年度より継続しておこなっている、中国皇帝の喪葬儀礼史料である大唐元陵儀注の注釈作業がほぼ完結したことを受け、その概要を中国語で紹介したのが、論文「《大唐元陵儀注》概説」(分担執筆)である。 3、奈良時代儀礼を復原する上で重要な参考資料となる正倉院宝物に関して、東京大学所蔵の巻子本『正倉院御物写』の検討をおこなった。関連資料調査の概要は随時『東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター通信』に報告するとともに、論文「森川杜園『正倉院御物写』と目名子文書」をまとめた。さらに本資料を研究素材として広く一般に利用してもらい、さらなる研究の進展をはかるため、図録『森川杜園『正倉院御物写』の世界』を作成し、研究成果をふまえた解説を執筆した。 4、国内調査としては奈良国立博物館・奈良文化財研究所などでの所蔵史料調査を実施し、国外調査としては韓国扶余・全州・釜山・大邸周辺博物館・史跡等において資料収集および調査をおこなった。 5、律令制・儀礼史関係図書を中心とした資料の収集をおこなった。
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