2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720174
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
内山 一幸 Nihon Fukushi University, 知多半島総合研究所, 研究員 (80454411)
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Keywords | 日本近現代史 / 大名華族 / 士族 / 旧藩 |
Research Abstract |
本年度も当初の研究実施計画に基づき、柳川古文書館所蔵「旧柳河藩主立花家文書」の調査を中心に行った。そのほかに国立国会図書館、福井市立郷土歴史博物館、台東区立図書館、北九州市立図書館において史料収集を行った。また研究の遂行に必要な史料集や史料目録を購入した。 上記の史料収集と平行して、本年度では(1)立花寛治の大名華族としての自己認識、(2)農事試験場構想に対する旧藩士の反応の二点を中心に検討した。 (1)の作業から、立花寛治の旧藩領における農事試験場建設事業は彼の強い華族意識に根ざした行為であったことが明らかとなった。具体的には華族たちが抱いていた明治国家の貿易赤字に対する危機感と、来る明治23年の国会開設の際に自身が上院議員に就任できなかった場合の代替行為という二つが寛治の行動の動機となっていた。 (2)については一部の旧藩士たちの対応の検討を行った。その結果、方法論は多様であるが原理的には立花寛治の富国をめぐる議論はおもだった旧藩士たちにも共有されていたことが明らかとなった。 本研究の成果については、九州史学研究会のシンポジウム「大名華族と旧藩意識」において日頭報告を行った。また研究論文として「明治前期における大名華族の意識と行動」を学術雑誌に投稿し、現在印刷中である。このほかに柳川市刊行の『図説立花家記』に研究成果の一部を提示した。
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