2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720176
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
毛利 憲一 Heian Jogakuin(St.Agnes')University, 国際観光学部, 講師 (00425026)
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Keywords | 日本古代史 / 財政学 |
Research Abstract |
1、本研究は、日本古代における地方財政の運営・運用実態の分析を通し、当該時期の地方支配組織と実態社会の関係を解明し、国郡制の成立・展開・変容の諸段階を明らかにしようとするものである。 2、研究期間の初年度に当たる今年度は、古代の文献から関連史料を博捜し、地方財政に関わる政策を時系列で把握することに努めるとともに、正倉院文書の刊本・写真版に収載されている古代の地方財政帳簿類の検討を中心に研究を行った。 3、今年度は本務との関係で十分な時間が取れず、地方官衙遺跡などへの実地調査を行うことが出来なかった。そのため当初計画を変更し、それらは2010年度に行うこととし、2009年度は文献史料・先行研究の検討を中心に研究を進めた。 4、特に8世紀の地方財政政策として重視されてきた734・739年の官稲混合政策について検討を行い、その歴史的位置を明らかにする論文を執筆した(2010年度に刊行する書籍に掲載の予定)。この論文では、これまで注目されてこなかった出雲国計会帳における記載に注目し、官稲混合政策の軍事的な性格を明らかにし、先行研究とは異なる意義を見出した。 5、また745年に行われた公廨稲制度について検討を行い、これまで特に関連が指摘されてこなかった743年の墾田永年私財法と公廨稲制度について、当該時期における「勧農」政策の一環として両者には密接な関係が推測されることを明らかにした。その内容は2009年1月に日本史研究会古代史部会で発表したが、次年度には論文として公表するべく、執筆を進めている。
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