2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720176
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
毛利 憲一 平安女学院大学, 国際観光学部, 准教授 (00425026)
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Keywords | 日本古代史 / 財政史 / 国郡制 |
Research Abstract |
1、本研究は、日本古代における地方財政の運営・運用実態の分析を通し、当該時期の地方支配組織と実態社会の関係を解明し、国郡制の成立・展開・変容の諸段階を明らかにしようとするものである。 2、研究期間の最終年度に当たる22年度は、古代の地方財政の成立過程を中心に据えて検討を進めた。特に孝徳朝における「天下立評」の実態について、大化改新詔や『常陸国風土記』などの基本史料の分析を進め、近江令による地方支配体制の創出を展望した研究を、日本史研究会古代史部会で「七世紀後半の地方支配組織-孝徳朝「天下立評」の実態-」と題して発表した。 3、古代国家の地方支配の8世紀から11世紀までの変遷を、多田源氏の成立を中心に、摂津国河辺郡に即して検討した小論を、「多田院と河辺郡大神郷・楊津郷-平安時代の川西地域-」として公表した。 4、また地方財政の基礎構造・運営実態に関する研究では、大税・郡稲など「稲の財源」の基本的性格を再検討した論考を執筆したが公表に至っていない。これについては、23年度中に公表できる見込みである。また公廨稲制度についての研究も、早期に公表できるようにしたい。 5、今年度は、木簡学会の多賀城特別研究集会に参加し、当地で出土した木簡資料の実見をする機会を得た。また研究発表などで、律令国家の東北支配についての知見を深めることが出来た。
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