2008 Fiscal Year Annual Research Report
浜岡光哲関係文書の基礎的研究-近代日本地方財界人の多面的分析へのアプローチ-
Project/Area Number |
20720177
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
秋元 せき Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 非常勤講師 (20469208)
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Keywords | 浜岡光哲 / 近代日本 / 地方財界人 / 京都 / 地下官人 |
Research Abstract |
本研究計画の第1年目にあたる今年度は、文書群としての浜岡光哲関係文書(浜岡家文書)の全体像を把握する作業に着手した。浜岡光哲は京都を拠点とし、政治・経済・社会・文化など多方面の活動を展開した近代日本の地方財界人の典型といえる人物である。また、浜岡家は、江戸時代に朝廷につとめた官人の家でもあった。このため、同文書には、近世における大経師としての活動に関わる文書が数多く含まれる。 今年度は、近世期に重点を置いて調査を進めた。その結果、浜岡家文書は、院承仕御経蔵所に出仕した地下官人の活動を解明する上で極めて重要な史料群であることが明らかになった。この中には、近世から近代への移行期の文書も多数含まれることも判明した。今年度の調査では、これ以外に、浜岡光哲および浜岡家の実像を解明するため、この周辺の一次史料の調査にも取り組んだ。田中源太郎(光哲の従兄弟)や三浦豊二(京都商工銀行幹部で『田中源太郎翁伝』編纂者)などの関係文書を調査したことで、異なる視点から記録される浜岡光哲の役割を明らかにする手掛かりが得られた。さらに、今年度の調査により、数は多くはないが、浜岡光哲関係文書のなかに、こうした草創期の京都の新聞事業に関する一次史料が含まれることが確認できた。浜岡光哲は京都における草創期の新聞事業の中心を担った人物であることは『京都新聞百年史』などで既に知られているが、当時の一次史料はこれまでの調査ではほとんど確認されてこなかった。また、これらの意義を解明するため、現在確認することができる当時の刊行資料(京都新聞の前身にあたる『日出新聞』『中外電報』など)について調査を行った。 このほか、浜岡光哲は、大正期に京都市区改正地方委員・京都都市計画地方委員などをつとめ、京都の都市計画に関与した。今年度は、大正期京都の都市計画についても、史料調査を行い、研究を進めた。
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