2009 Fiscal Year Annual Research Report
浜岡光哲関係文書の基礎的研究―近代日本地方財界人の多面的分析へのアプローチ―
Project/Area Number |
20720177
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
秋元 せき Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 非常勤講師 (20469208)
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Keywords | 浜岡光哲 / 近代日本 / 地方財界人 / 京都 / 地下官人 |
Research Abstract |
今年度は、文書群としての「浜岡光哲関係文書」(浜岡家文書)の全体像を把握するため、これまで未調査であった分の近世期の浜岡家文書の調査を実施した。同文書の約半分を占める近世分に中心に、史料の点数・作成年代および資料の性格など、今後の研究の最も基礎となるデータの収集・整理を行った。同家は、江戸時代に朝廷につとめた地下官人の家であることから、院承仕御経蔵所の活動の一端がうかがえる記録類が伝来する。また、今回の調査の中で、近世から近代への移行期の同家の記録も確認できた。本研究では、このような地下官人の家から、近代日本における地方財界人が台頭してくる背景とその歴史的意義の解明を視野に入れている。今年度の後半には、近代分の目録化の作業に取り組んだ。これにより、約3000件の仮目録を新たに作成できた。この中には、実業家としての浜岡光哲の活動に関する文書のほか、衆議院議員・京都府会議員としての政治活動に関する文書も多数含まれる。また、浜岡は京都財界を代表する人物であり、大正期に京都市区改正地方委員・京都都市計画地方委員などをつとめた。今回の作業で目録化した文書には、こうした京都における初期の都市計画に関わる文書も含まれる。これらの文書は、今後の研究の大きな手がかりとなるものであることは間違いない。 このほか、国立国会図書館・国立公文書館・外務省外交史料館・京都府立総合資料館・京都府立図書館・北海道立文書館・北海道立図書館などでも史料調査を実施し、公文書や刊行資料などに含まれる関係資料を収集した。 また、この間の調査により、虫損が激しく開帳が困難な文書が少なくないことも明らかになった。修復を行う設備や予算が見込めなかったため、根本的な解決策を講じることはできなかったが、この点は今後の課題である。
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