2010 Fiscal Year Annual Research Report
浜岡光哲関係文書の基礎的研究―近代日本地方財界人の多面的分析へのアプローチ―
Project/Area Number |
20720177
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
秋元 せき 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (20469208)
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Keywords | 浜岡光哲 / 浜岡家文書 / 地方財界 |
Research Abstract |
今年度は、浜岡光哲関係文書(浜岡家文書)の目録作成を中心に、これまでの作業の取り纏めを行った。浜岡光哲(1853~1936)は、明治初期の京都で地方新聞を創刊し、京都商工銀行の創立に関与するなど、明治維新後の京都復興のキーパーソンといえる人物である。浜岡光哲は、明治期から昭和初期にかけて、京都商業会議所会頭や衆議院議員・京都府会議員・都市計画京都地方委員会委員など様々な公務を担った。このため、同文書には、こうした公的活動に関わる文書が多数含まれる。今年度は、浜岡家文書のうち、未整理分の目録作成に取り組み、入力作業などの外注を含めて作業を効率化し、データの作成をすすめた。 この作業と併行して、国立国会図書館・京都大学経済学部図書室・京都府立総合資料館・京都府立図書館などで調査を実施し、他機関所蔵の歴史資料と比較しながら、浜岡光哲関係文書の史料的価値を検討する作業を行った。なかでも、国立国会図書館・京都大学経済学部図書室が所蔵する京都商工会議所に関する資料を調査することにより、浜岡光哲と京都財界の動向が京都の都市計画に与えた影響が明らかになった。この成果の一部は、研究論文「近代京都における地域開発構想と地方財界-伏見港修築と京阪運河計画をめぐって-」の執筆に役立った。 また、今年度は、同文書の内容の検討とあわせて、ご遺族からの聞き取り調査を実施し、浜岡光哲の孫にあたる方から、同家に伝わる話や、浜岡光哲の人物像に関わるお話をうかがうことができた。 最後に、今年度の調査・研究を進めるなかで、浜岡光哲の遺族宅から、新たに関係文書が発見されたことも付記しておく。「浜岡家文書」の調査は、今後も継続して調査を行う予定である。
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