2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720181
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
坂本 亮太 Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science, 研究部, 研究員 (40435904)
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Keywords | 日本史 / 中世 / 寺社 / 在地領主 / 地域社会 |
Research Abstract |
本研究では、在地領主層の氏寺の存在形態、とりわけ氏寺が在地領主・荘園・村落・寺社などと結ぶ社会的関係を明らかにすることにより、中世における地域社会の構造を捉えようとするものである。資料に恵まれる相良氏を素材に、東国(遠江)と西国(肥後)の違い、さらには本貫地(遠江)と入植地(肥後)の違いも視野にいれ、中世を通じた氏寺の存在形態を検討する。それと同時に、各地の氏寺の資料を収集し、現地確認・踏査をおこなうことで、相良氏の事例を相対化することも課題としている。 1.本年度は、おもに肥後国人吉荘願成寺(熊本県人吉市)の文書調査・撮影をおこなった。特に聖教類の奥書から、室町・戦国期における氏寺の変化、中央寺社との関係、球磨郡内周辺寺社との関係が確認できた。その検討により、当時の氏寺僧の活動、およびそれを媒介とした寺社ネットワークが明らかになるものと思われる。 2.球磨郡内の寺社、在地領主層の拠点施設等の踏査をおこない、その立地環境や石造物等の確認調査を実施した。その結果、相良氏が肥後に入る以前から存在した須恵氏・平河氏・久米氏・矢瀬氏など在地領主層が関わる寺社・遺跡(居館)等を多く確認することができた。球磨郡の現地調査により、地域社会の中で競合する在地領主層とその氏等の相互関係を知ることができるものと予想される。 3.これまで取り上げられている氏寺の状況を確認すべく、出雲国来待荘弘長寺(島根県)、肥後国野原荘淨業寺(熊本県)、下野国須永御厨崇禅寺(栃木県)、上野国新田荘長楽寺(群馬県)、豊後国田染荘・香々地荘(大分県)などの現地踏査、ならびに資料収集をおこなった。
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