2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代コーカサス・フロンティア社会の形成-エニコロピアン家の活動を中心に-
Project/Area Number |
20720183
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
前田 弘毅 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90374701)
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Keywords | 近代史 / グルジア:アルメニア:イラン:ロシア / 帝国とフロンティア / ディアスポラ / 異化接触 / 国際情報交換 / 通訳の歴史 |
Research Abstract |
平成22年度には、これまでの研究を踏まえ、最終年度において成果をとりまとめるべく、一層の研究資料の収集と理論的進展を図った。研究の特性上、海外各地での現地調査や研究者との意見交換を通じて、特に史資料の収集と読解を行う必要がある。今年度では、特に、トビリシの国立文書館において、エニコロピアン家に関連する多数の未公刊文書を収集することに成功した。その中には同家のトビリシにおける活動や、当時の外交のあり方などを伺わせる様々な史料(グルジア語とロシア語およびペルシア語)を含んでいる。ロシアとイラン両帝国の境において複雑な動きをみせた同家に関する重要史料について、その読解は未だ完了していないが、そのトランスナショナルの意味をより具体的に描く展望を得た。加えて、邦文・欧文の研究文献を多数収集し、たとえばインド史における奴隷エリート研究など、より広い比較的視野から当該研究にアプローチするための着想も得ることができた。また、海外の研究者の協力を得て、コーカサス多民族社会に関連するこれまでの成果の英語への翻訳などを重点的に行い、多くの有益なコメントも得ることができた。また、成果の一端を東京や大阪で開催された各種の講演会やセミナーで披露したが、その際に得られたフィードバックも研究の進展に役立った。多数言語や様々な国家をまたいだその活動を追うことは容易ではないが、3年を経て研究内容と理論両面で研究は着実に進展しているといえる。
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Research Products
(5 results)