2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720187
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
甘利 弘樹 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (90398256)
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Keywords | 東洋史 / 中国 / 広東 / 清朝 / 康熙朝 |
Research Abstract |
研究の最終年度4年目に当たる23年度は、三藩の乱後の広東山間地に安定をもたらした諸政策を明示することを目指し、研究を進めてきた。国内・国外における資料調査は、一昨年度以来の理由によって時間の設定ができず、実施が適わなかったものの、新たに公刊された『広東歴代方志集成』(恵州府部)に基づき、三藩の乱の時期に広東山間地で勃発した清朝武官劉進忠の反清叛乱に関するデータを増加させ、叛乱の前後における当該社会の秩序変動の過程を明確化した。それと同時に、三藩の乱後の諸政策、特に郷約・保甲の県レベルにおける実施状況の詳細を確認することができた。以上をふまえ、康熙期に実施された郷約・保甲が雍正期以降に安定して実施される初期段階に位置づけられること、ならびに当該時期の広東における郷約・保甲の実効性を見出すことができた。 一方課題として、平成22年度に『輔仁歴史學報』第25期(平成22年刊行)において発表した研究論文「從『密本档』看順治10年的華南統治政策」では、清朝の広東山間地統治の順治期~康熙期における連続性・不連続性を扱ったが、今後は康熙期~雍正期における連続性・不連続性を解明する必要があることが認識された。 なお、上述した1ヵ年の研究と研究4年目の成果を通して明らかとなった広東山間地に関する論文として、「三藩の乱と広東山間地社会-劉進忠の乱の分析を中心に-」を仮題とする論文、及び「清初広東恵州府博羅県における郷約・保甲」を仮題とする論文の執筆を進めており、両論文を平成24年度中に投稿し、研究成果の評価を受けることとする。
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