2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
A "Morphogenetic" Study of Castra in the Middle Ebro Valley from the Eleventh to the Thirteenth Century
Project/Area Number |
20720193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
ADACHI Takashi Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (90377763)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | 中世史 |
Research Abstract |
本研究は、ラテン・ヨーロッパの「辺境」のひとつとみなされてきたスペイン北東部エブロ川流域における城塞集落の生成と形態変化の過程を具体的に明らかにすることにより、征服と入植をともなうアンダルスとの「辺境」ゆえに中世地中海農村のなかでも城塞集落が本格的な発達をみなかったとされるスペイン北部がじつは城塞集落生成の先進地帯にほかならなかったことを具体的かつ実証的に明らかにしようとするものである。この作業では、文献史料はもちろん、歴史地理学や考古学といった隣接諸科学の知見をふまえて、定住形態、定住地の布置と空間の編成様式、定住地相互の政治的・社会経済的諸関係といった、同河川流域の定住構造の全体像がまずもって明らかにされなくてはならない。とはいえ、そもそも作業の基礎をなす文献史料は、主要な教会や修道院のカルチュレールを除けば、司教座聖堂教会や、テンプル騎士団や聖ヨハネ騎士団といった騎士団に比較的豊富に伝来する単葉形式のオリジナル文書が現在もなお未刊行のままであるから、各年度にスペインに一定期間渡航し、国立歴史文書館(マドリード)、アラゴン連合王国文書館(バルセローナ)、サラゴーサやウエスカの司教座聖堂教会文書館に収蔵された未刊行文書の翻刻とデータベース化が、古地図や地籍図、最新の考古学的な発掘報告書の蒐集および分析とならんで欠かすべからざる作業であり、それらを逐次分析してゆく過程で具体的な実証研究を各年度に公表し、最終年度に準備される研究の総括につなげてゆくというものであった。
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