2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代イギリスにおける社会的インフラストラクチャの整備と「投資社会」
Project/Area Number |
20720197
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 優一郎 Kyoto University, 人文科学研究所, 助教 (40335237)
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Keywords | 投資社会 / インフラストラクチャ / 公債 / トンチン / 公共的プロジェクト / 啓蒙思想 / 改良事業 / イギリス |
Research Abstract |
本研究の目的は、18世紀以降のイギリス社会を「(証券)投資社会」の歴史的起源として理解することにある。この科研プロジェクトでは、なかでも、近代社会の形成においてとりわけ重要な意味をもつ社会的間接資本の構築と「投資社会」の勃興・形成との関係をとりあげる。「投資社会」形成期にあたる18世紀末を中心に、「証券化」による資金調達や証券投資による「年金」の獲得、事業主や投資家の客観的な予測可能性を提供する「確率論」や「統計学」などの余命に関する科学的学知の形成との相互関係に対象を限定する。 研究初年度にあたる平成20年度では、都市部でのインフラストラクチャ整備の代表的な事例としてイギリス・ミドルセクス州の懲治院建設、農村部での代表的な事例としてサセクス州のAdur川橋梁の建設をそれぞれとりあげ、双方の建設資金調達とトンチン年金による「証券化」の実態を調査した。そのために、出張旅費をもちいて、ロンドン・メトロポリタン・アーカイヴズおよびウェストサセックス・レコード・オフィスにて関係史資料の調査・蒐集・複製をすすめた。また、同時に、同時期のイギリスでおこなわれた証券化をともなう公共的プロジェクトの事例蒐集および分析も実施した。そのさい、イギリス18・19世紀民間公共プロジェクト関係資料を設備備品費をもちいて購入した。 以上より、平成20年度の課題である社会的間接資本整備の事例研究をじゅうぶんに遂行することができたと考えられる。
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