2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代イギリスにおける社会的インフラストラクチャの整備と「投資社会」
Project/Area Number |
20720197
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 優一郎 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (40335237)
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Keywords | 投資社会 / 啓蒙 / 財政=軍事国家 / 社会的間接資本 / イギリス / 科学的学知 / 近代社会 / 18世紀 |
Research Abstract |
本年度は三年計画の最終年度であり、前二年間の研究内容の成果公表につとめた。いわゆる「財政=軍事国家」としてのブリテンの特殊性を念頭におきつつ、国内における社会的間接資本の構築と「投資社会」の形成との関係を、「啓蒙」の思想的・学知的・実践的な試みに注目することによって結びつけることを試みた。そのさい、具体的な事例として、前二年間に本プロジェクトの海外出張費を利用して現地で史料調査・収集を実施したグラスゴウ、ハル、ロンドン、バース、チェルトナムといった各(地方)都市における都市基盤構築をとりあげた。さらに、ブリテンの特殊な国家構造によってうみだされた社会的間接資本形成と「投資社会」の深化・発達がしだいに普遍的な様相を呈し、アイルランドや合衆国、そして大陸ヨーロッパにまで波及していったことも示した。アイルランドや合衆国の事例については海外出張によって蒐集した史料にもとづくものであり、また、大陸ヨーロッパの事例および啓蒙の各種科学的学知については本プロジェクトの備品費をもちいて蒐集した同時代文献の精査にもとづく成果である。上記の研究を、「投資社会の勃興と啓蒙:-七年戦争後のブリテンにおける改良・アニュイティ・科学的学知」(富永茂樹編『啓蒙の運命』名古屋大学出版会)として公表し、これをもって三年間におよぶ本プロジェクトを総括した。本研究の目的である18世紀以降のイギリス社会を「証券投資社会」の歴史的起源として理解することおよび、近代社会形成と「投資社会」形成との関係については、その一端をじゅうぶんに明らかにできたのではないかと考えている。
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