2008 Fiscal Year Annual Research Report
出版物・雑誌に基く 太平洋戦争下の日本考古学史の基礎的研究
Project/Area Number |
20720209
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
平田 健 Meiji University, 文学部, 助手 (60459998)
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Keywords | 日本考古学 / 考古学史 / 太平洋戦争 / 文献集成 / 考古学関係絵葉書 |
Research Abstract |
あらゆる学問において学術雑誌と著作物(書籍)は、研究成果を社会に還元する手段の一つである。本研究は日本考古学の歴史を雑誌掲載論文と著作物から再構築し、各時代の特性を把握するとともに、評価の定まっていない太平洋戦争下の調査・研究活動を位置付けることを目的とする。平成20年度は次の基礎資料を収集・分析した。 1. 昭和4年から昭和30年刊行の出版物1, 587冊について、基本情報(著者・刊行年・題名・出版社)を収集し、内容別(研究書・報告書・図集・目録・地名表等・随筆・翻訳書・普及書)に分類。大正後半から昭和初期に図集・図録類が多く刊行され、資料の共有化が図られていたことが判明。太平洋戦争下では、(1)普及書の刊行が突出しており、考古学の社会的責任が明示されていた点(2)東南アジア・南洋諸島に関する翻訳書の急増と、『大東亜共榮圏』構想を考古学・人類学的に追認する研究姿勢を明らかにした。 2. 同時期に刊行された雑誌掲載論文の書誌情報(著者・刊行年・論文名・雑誌名・発行所)を集成。考古學會機関誌『考古學雑誌』(926本)、史前學會機関誌『史前學雑誌』(640本)、東京考古學會機関誌『考古學』『古代文化』(758本)のほか、『ドルメン』『ミネルヴァ』『民族文化』など考古学・人類学関係通俗誌も対象とした。併せて北海道内で発行された雑誌掲載論文(313本)を収集、在野の考古学者による昭和初期の資料報告が今日の北海道考古学の基底にあると評価した。 上記集成の過程で絵葉書の考古学・人類学研究における重要性を認識した。そこで明治39年から昭和20年に発行された関連絵葉書428組1, 695枚のデータベースを作成。著作物の動向と比較した結果、絵葉書には『資料カード』と『発掘調査成果等の速報』という役割があったことを確認することができた。
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Research Products
(2 results)