2009 Fiscal Year Annual Research Report
出版物・雑誌に基く 太平洋戦争下の日本考古学史の基礎的研究
Project/Area Number |
20720209
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
平田 健 Meiji University, 文学部, 助手 (60459998)
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Keywords | 日本考古学 / 考古学史 / 太平洋戦争 / データベース / 考古学関係絵葉書 / 考古資料教材 |
Research Abstract |
今日の日本考古学の方法論が確立され、資料が発掘調査によって蓄積された昭和初期の考古学界について、研究成果を公刊する出版物・雑誌掲載論文・絵葉書から再構築し、日本考古学史の中で評価するため平成21年度は以下の史料集成と分析を行った。 1.昨年度集成した北海道を除く都府県の郷土研究会などが昭和4年から昭和30年にかけて発行した考古学関係出版物と、雑誌掲載論文の基本情報(著者、刊行年、題名・論文名、雑誌名、出版社・発行所)を、各都府県立図書館、国立国会図書館、明治大学博物館付属図書館などでデータ入力した。雑誌掲載論文や著作物1739冊の分析を通じ、三重県や岡山県など在野の研究者が自発的に考古学研究を推進した地域は稀であり、大正8年の史蹟名勝天然紀念物保存法の公布を受けて帝国大学や帝室博物館などに属する考古学者の史蹟調査が契機となっていることが判明した。だが、その後は官学の考古学者に触発され在野の研究者が研究組織を整備し、機関誌を発行している四国地域や、研究会を結成せず、考古學會機関誌『考古學雜誌』など官学の発行する機関誌に資料紹介を行っている北陸地域というように、考古学研究の発達は地域毎に多様性があることを確認した。この流れは昭和20年まで継承され、終戦後はほぼ全国で考古学の研究組織が結成、加えて中・高等学校の郷土クラブが各地の遺跡を調査するなど学校教育の場が考古学研究を担っていたことが明らかになった。 2.遺跡や考古遺物を公開する媒体である絵葉書について、本年度は矢島恭介旧蔵品を一括購入してデータベースを構築した。また製作に深く関与していた坪井正五郎と高橋健自の絵葉書を検証することで、研究者自身が必要としていた研究データを獲得する手段から、資料を公開し共有する媒体へと考古学関係絵葉書が変化する過程を復元、資料カードとしての役割について言及した。
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