2008 Fiscal Year Annual Research Report
西南中国及び東南アジア大陸部における伝統的土器製作の比較研究
Project/Area Number |
20720213
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
徳澤 啓一 Okayama University of Science, 総合情報学部, 講師 (90388918)
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Keywords | 中国雲南省 / 東南アジア大陸部 / 伝統的土器製作 / 製作技術 / 生産様式 / 伝統的様式の変容 / 後継者の不在 / 伝統の断絶・喪失 |
Research Abstract |
西南中国(主として中国雲南省)及び東南アジア大陸部(うちベトナム・カンボジア・タイ・ミャンマー)にかけて分布する少数民族が継承してきた伝統的土器製作(以下、「土器製作」という)の比較研究を行った。 平成20年度の「研究実施計画」では、当初、ミャンマーにおける現地調査を企図していたものの、5月のサイクロン被害を受けて、急遽、計画を変更せざるをえなくなり、タイ東北部、ラオス南部、ベトナム南部、中国雲南省の各地において、土器製作の現地調査を実施することになった。 上記の調査地における土器製作は、地域や民族の差異を越えて、製作技術及び生産様式の異同が見られた。これらに関する比較研究の成果は、「11. 研究成果」のとおり、その一部を公表することができた。平成21年度は、平成20年度の現地調査におけるデータ整理を進めることにしたい。 また、上記の調査地、すなわち、辺境地域に及んだグローバル化の影響は、生活様式を現代化させ、これと同調して、土器製作の伝統的様式を変容させていた。さらには、工業製品が大量流入したことで、伝統的土器の不要化が進んでいた。 さらに、辺境地域の次世代の担い手である若者は、テレビやインターネットを通して、都市的生活に対する憧憬を募らせている。そのため、若者が出稼ぎに出てしまい、伝統の後継者が不在の状況に陥っている。ほとんどの地域で製作者が高齢化しており、近い将来、土器製作の伝統が断絶・喪失する危険を孕んでいることも明らかとなった。
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