2008 Fiscal Year Annual Research Report
弥生・古墳時代における東アジア墳墓出土鉄製武器の比較研究
Project/Area Number |
20720216
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
豊島 直博 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 都城発掘調査部, 研究員 (90304287)
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Keywords | 弥生時代 / 古墳時代 / 東アジア / 鉄製武器 / 初期国家 |
Research Abstract |
古墳時代を初期国家段階とみる前方後円墳体制論については、当時の必需物資である鉄の評価をめぐらて意見の対立が続いている。本研究は、日本の弥生・古墳時代の墳墓から出土する鉄製武器の流入経路を探るため、中国と朝鮮半島の武器と比較検討することを目的とする。今年度は研究の初年度に当たり、発掘調査報告書や学術雑誌をもとに中国と朝鮮半島の鉄製武器を集成した。武器には刀剣、弓矢、矛など様々な器種があるが、当面は刀剣類を中心に集成を進めている。 中国の資料では、前漢から後漢にかけての出土資料が充実していることを再確認した。とくに後漢〜三国時代の素環刀は日本や朝鮮半島の武器と共通性が高く、広域に流通する武器ではないかという感触を得た。いっぽう、人物俑が墳墓に副葬される晋代以降になると、武器の副葬量は激減する。少ない資料を厳選して資料調査に当たる必要性が生じた。 朝鮮半島で一は当初の予測通り韓国南部の伽耶地域と馬韓地域の資料が充実していることを確認した。旧楽浪郡に当たる北朝鮮や、韓国東北部の資料集成を重点化する必要が生じた。 日本の資料については、弥生時代と古墳時代前期の集成を終えているので、古墳時代中期以降の武器を集成することに重点を置いた。また、福岡県奴山正園古墳、岐阜県遊塚古墳出土武器の実測と写真撮影を行った。その結果、古墳時代中期においてもヤリが一定程度は存在すること、短刀の柄の製作技法は近畿から九州まで広い範囲で共通することなどが判明した。今後は後期古墳の武器、鉄鏃の資料調査を進める予定である。
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Research Products
(2 results)