2009 Fiscal Year Annual Research Report
古代工房の復原的比較研究-埴輪・須恵器・瓦の工房を中心に-
Project/Area Number |
20720217
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
城倉 正祥 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 都城発掘調査部, 研究員 (90463447)
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Keywords | 埴輪 / 須恵器 / 瓦 / 工具痕分析 / 生産遺跡 / 同工品 / 地域社会 / 手工業生産 |
Research Abstract |
本年度は、関東地域、特に北武蔵地域の生産遺跡を中心に分析を進めた。埴輪生産遺跡の分析では、生出塚埴輪窯・桜山埴輪窯・姥ヶ沢埴輪窯・割山埴輪窯の分析を行った。この作業によって、北武蔵地域に分布するほとんどの埴輪の生産地を具体的に特定できるようになった。北武蔵の6世紀の埴輪は、生産地を単位とした系統に集約されることがわかり、各系統の型式学的変遷を確認した。さらに、各系統の埴輪は地域首長墓群である埼玉古墳群の各古墳で共伴するので、埼玉古墳群の分析によって各系統の相対的な前後関係が確定できる。現在は、埼玉古墳群の分析を継続しているところである。 また、本年度の当初の予定では、東海・北陸地域の須恵器系埴輪の分析を進める予定だったが、北武蔵地域における生産遺跡の分析において、予想をはるかに超える成果が出ているため、北武蔵地域の埴輪の分析に集中した。一方で、須恵器系埴輪については、埼玉古墳群においても中の山古墳で須恵質埴輪壺が出土しているため、その分析を行った。分析の結果、その生産地が埼玉県寄居町の末野遺跡3号窯である点を刷毛目の同定によって確定した。中の山古墳出土埴輪は、大きく3群に分類でき、いずれも須恵器工人が生産に関わっていると考える。TK209型式の須恵器高坏が3号窯で焼成されている点からすれば、6世紀最終段階須恵器工人が最後の埴輪を生産したものと推察される。 以上、本年度は北武蔵地域の分析によって埴輪・須恵器の工房復原に関して、多大な成果をあげた。本年度の分析成果につていは、科研費研究の報告書にまとめることを予定しているので発表を控えている。なお、部分的な成果については、「比企の埴輪」と題して『埴輪研究会誌』第14号に掲載を予定している(2010年5月刊行)。
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Research Products
(1 results)