2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720219
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
祖田 亮次 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 准教授 (30325138)
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Keywords | 河川災害 / マレーシア / 河岸侵食 / 洪水 / 伝統的河川工法 / 技術移転 / 多自然川づくり / 国際協力 |
Research Abstract |
本年度は、おもに次の3点について調査研究を行った。 第1に、北陸地方で行われている伝統的河川改修工法あるいは多自然河川工法について、その具体的な施工の方法についての調査を行った。これは、マレーシアへの技術移転を考えた場合に、どのような具体的方法がありうるかを検討するためのもので、技術協力の制度的な問題も含めて、国交省や設計コンサルタント、施工業者、および施工作業員等への聞き取り調査を行った。 第2に、かつてラオスへの河川工法の技術移転がどのように行われたかについて、JICAの関係職員に聞き取りを行った。JICAが検討を進めている第三国技術移転(途上国→途上国の技術移転)については、実施の可能性が低いものの、ラオスでの施工事例をセミナー形式で他国に紹介することは決定済みで、その具体的な内容についてJICA関係職員と協議を行い、マレーシア関係者のセミナー参加を検討した。 第3に、マレーシアの河川災害に関する現地調査を行った。そこでは、地形学的な観点から地形変動メカニズムを考察するために、いくつかのサイトで河床断面調査を行うと同時に、河岸崩落地における斜面形状の測量を行った。これによって、マレーシアの河川をめぐる災害の要因について、一定程度の地形学的知見を得た。また、実際に河岸侵食や洪水の被害を受けている村落や公共施設(小学校・病院など)を訪問し、河川災害の具体的な現象や、それらに起因する社会的問題について、聞き取り調査を行った。 いずれも、マレーシアにおける今後の持続的かつ有効な河川災害対策を検討するための、基礎的な資料になりうる調査である。 これらの成果の一部は、研究協力者(柚洞一央氏)との連名で、学会誌への論文掲載・学会発表という形で公表したほか、京都大学で行われた国際シンポジウムや、つくば地形教室セミナー等においても報告を行い、関係する研究者との議論を深めた。
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