2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢社会における高齢者の社会的結節点の形成と維持に関する研究
Project/Area Number |
20720222
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中條 曉仁 Shizuoka University, 教育学部, 准教授 (40432190)
|
Keywords | 超高齢社会 / 中山間地域 / 社会的結節点 / 社会関係 / 高齢者 / 女性起業 / 民宿地域 / 社会地理学 |
Research Abstract |
平成20年度における研究は, 中山間地域をはじめとした農村地域に居住する高齢者が有する社会的結節点の形成とその維持メカニズムを, 「働く高齢者」に着目して調査・分析を行った。なお, 本研究では「社会的結節点」を他者との社会関係が形成され維持される場所としてとらえている。 農村に居住する高齢者は, 農業など伝統的な生業を基盤とする地域的な社会関係を維持しており, 高齢者が生産活動の担い手となって社会的結節点を形成していることが多い。本研究では, (1)女性高齢者による農産物の直売活動や加工活動の展開, (2)民宿地域の維持に寄与する高齢者の役割を取り上げた。これらの活動は, 伝統的な生業をめぐる社会関係の上に成立すると考えられ, 高齢者の社会的結節点を反映する一側面といえる。 研究(1)では, 静岡県の農村地域で活動するグループを対象とした。そして, 活動に参加する女性高齢者は仲間との社会関係の構築や, 年金に付加するための収入を得るために活動に参加している人が多かった。また, グループの立ち上げに際しては行政や農協による働きかけのあった事例が多く, 加工所や販売所の設立・確保に際してもそれらが寄与している実態が示された。研究(2)では, 伊豆半島西岸の民宿地域において, 民宿経営の主要な担い手が高齢者であり, 民宿地域を支える存在になっている実態が示された。しかし同時に, 高齢期は予期せぬ病気やケガに見舞われるため, 加齢に伴う民宿経営の不安定性が顕著に現れる実態も示された。
|
Research Products
(2 results)