2009 Fiscal Year Annual Research Report
知識・学習・慣行と産業集積地域の発展:コンヴァンシオン経済学からのアプローチ
Project/Area Number |
20720227
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
立見 淳哉 Osaka City University, 大学院・創造都市研究科, 准教授 (50422762)
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Keywords | 産業集積 / クラスター / 慣行 / 知識 / コンヴァンシオン |
Research Abstract |
本研究は、地域経済の競争力の源泉となりうる、知識創造、集団学習、イノベーション促進といった集積メリットが生成する論理を明らかにすることを目的としている。(1)コンヴァンシオン理論の本格的検討を通じた理論研究と、(2)詳細な実態分析に裏付けられた実証研究との融合を目指している。 (1) 理論的研究については、前年に引き続きコンヴァンシオン理論関係の翻訳作業を行うとともに、国内外の産業集積論と、理論的フレームワークとの融合作業を行った。近年のイノベーションや集団学習をメインテーマとした制度論的な産業集積研究においては、集積地域における共通の知識基盤がアクター間の知識移転を促進し、イノベーションに適した環境を提供すると考えられている。本研究では、こうした認知的な側面だけではなく、規範的な視点を導入することで共通の知識基盤(とりわけ、制度・慣行・ルーティン)の質的な中身を問題にするべきであることを明らかにしている。 他方で、国内の地域を中心に、(2)企業調査を活発に行った。当初は、ファッション・アパレル関連の海外地域を想定していたが、リーマンショック以降の影響を大きく受けた機械・金属産業関連の製造業地域を、その実態把握の緊急性から選択した。地域企業の実態把握と今後の地域発展の可能性を探るべく、40社程度のインタビュー調査を実施した。今年度の調査結果については、理論研究の成果も活かしつつ、次年度、投稿論文として形にしていく予定である。企画開発力と製造技術を融合させて新たなイノベーションを実現されるための条件が、議論の中心となる。また、政策的議論として、今後の地域経済と地域産業政策のあり方についても模索し、植田・立見編として上梓した。
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Research Products
(4 results)