2009 Fiscal Year Annual Research Report
アイヌ民族の「儀礼用冠」に関する実証的研究とその現代的意義
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20720233
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 幸治 Hokkaido University, アイヌ・先住民研究センター, 助教 (10451395)
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Keywords | アイヌ民族 / 物質文化 / 博物館 / 先住民族 |
Research Abstract |
本研究は、文化人類学、とりわけ物質文化研究が、現在に生きる先住民族といかにして互恵的関係を築きあげていくことができるのかという問題関心に立ちつつ、現在、アイヌ民族による儀礼の場で頻繁に使用されている民具を取り上げ、その多様性を学術的に明らかにするとともに、研究成果の効果的な還元のあり方を検討することを目的としている。 文献資料調査において、既に出版されている博物館図録等より、「儀礼用冠」に関する情報を集成し、その多様性を確認した。そこでは、現在のアイヌ民族の儀礼では見ることのできない形態、すでに失われた製作技術が確認された。また、ニューヨーク自然史博物館、北海道大学フィールド科学センター植物園・博物館、北海道道内の博物館等に所蔵されている儀礼用冠について、収集地等が判明しているものを中心に実見調査をおこない、今後の文化復興や失われた技術の復活のための情報を収集した。 博物館における調査では、資料調査とともに、研究成果等を広く市民へ還元する場でもあるアイヌ文化展示に関する予備的な調査、アイヌ民族の工芸家との意見交換をおこなった。そのなかで、アイヌの伝統文化に関わる人々のなかに、博物館資料を活用し、それぞれの出身地(地元)に根ざした文化復興および継承活動を希望していることが確認されるとともに、博物館側からは経年劣化が進むアイヌ民具資料の修復技術(者)が求められていることが確認された。このようにアイヌ民族側と博物館側の双方において、民具に関する現代的意義が確認され、その具現化のための総合的なシステムの構築が急がれることが判明した。なお、今後のシステム構築、先住民族との互恵的関係を構築する際に、「(民具の)修復・複製」がキーワードとなることが判明した。
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