2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカにおけるセクシュアリティの変化と「シングル」の生活戦術の可能性
Project/Area Number |
20720236
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
椎野 若菜 東京外国語大学, 准教授 (20431968)
|
Keywords | シングル / セクシュアリティ / ケニア・ルオ / ランゴ / ウガンダ北部 |
Research Abstract |
年度前半には、ケニア・ルオランドの田舎に位置する小学校におけるセクシュアリティ教育について、HIVにかんする事業と関連し調査した。また村落社会での結婚観とセクシュアリティ、シングル女性についての位置づけの変化について、聞き取りによって調査した。ウガンダにおいては、首都カンパラにおける男女関係のありかたをマケレレ大学を基点に調査、また北部ランゴランドでの村落調査も実施した。国内では、他地域のシングルの在り方についての比較研究や、国内のシングルに関する文献・メディア調査を行った。 日本をはじめとする都市部において、そして例えばケニア、ウガンダにおいても、「シングル」の状況はめまぐるしく変化している。実生活を送る当人たちの意識もさることながら、伝統的な結婚というステップを踏まない若者たちの事象をどう捉えたらよいか、未婚で生まれた子供の嫡出性の扱いについても、彼/彼女らのまわりの価値観も都市部に限らず、村落部でも大きく変化している。とりわけウガンダ北部は、長らく人びとを苦しめていた内戦の傷あとも大分癒えていることが観察された一方、次のような変化が調査できたことは重要である。避難するための移動、難民キャンプでの生活といった混乱のなかで外国からの援助、女性の権利に関する啓蒙活動等の影響もあり、いわゆる伝統的な手続きを伴った結婚がくずれ、シングルマザーが増加している状況が明らかになった。さらに、女性の就学と自立がより期待され、実践されつつあることが観察された。 以上の調査とこれまでの国内での「シングル」の比較研究の成果として、3月、6月には国立市民館での生涯学習講座に企画と招待講演を依頼されため、国内で組織しているシングルの研究会のメンバーで講演とディスカッションを行った。一般に、子ども世代の「シングル」の考え方を理解しようとする団塊の世代、これからの老いのシングルについて非常に関心が高く、他国の事例との比較、今後の日本についてのビジョン提示という点においても、本研究の役割と今後の期待、重要性が明らかになった。これらをふまえ、これまでの成果としての出版物を計画中である。
|
Research Products
(5 results)