2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720237
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
立川 陽仁 三重大学, 人文学部, 准教授 (20397508)
|
Keywords | カナダ先住民 / 経済的自立 / 養殖業 / アート制作 |
Research Abstract |
本年度は9月にフィールドワークを実施し、引き続きカナダ、北西海岸先住民の経済活動に関する継続調査をおこなった。フィールドであるカナダ、バンクーバー島では、例年通り、キャンベル・リバーの先住民たちのもとで、彼らの経済活動、とりわけサケ漁業と養殖業についての追跡調査をおこなった。 また、それと同時に、自身が所属する別の研究グループのテーマ関連づけて、先住民によるアート制作がいかに先住民社会の経済的自立に寄与できるのかという点についても調査をおこなった。その成果は『国立民族学博物館調査報告(SER)』に掲載される予定である(詳しくは次ページの研究成果の欄に記載するので詳しくはそちらを参照されたい)。 本年度は現地ではサケ漁業がきわあて好調だったこともあり、先住民にとっての着養殖業の重要性が影を薄めたことが明らかとなった。私の「養殖業はあくまでサケ漁業を補完するもの」という仮説は今年の状況に照らし合わせると正しかったといえる。しかしそれでも、養殖業はきわめて重要な意義をもうているのも事実であることがわかった。 アート制作は,アーティストと呼ばれる一部の先住民だけに経済的な自立をもたらすように思われがちであるが、それらアーティストの多くは「伝統的」という評価を得たいがために、先住民コミュニティに無償でみずからの利益を還元しようとするのであり、その結果、アート制作もまた先住民社会の経済的自立に寄与し得ることがわかった。
|