2008 Fiscal Year Annual Research Report
雲南・ビルマ間における中国ムスリムの越境移動と宗教実践の変容に関する人類学的研究
Project/Area Number |
20720244
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
木村 自 Kansai University, 文化交渉学教育研究拠点, 研究員 (10390717)
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Keywords | 中国ムスリム(回族) / 移民 / トランスナショナルな社会空間 / 中国雲南省 / ミャンマー / ネットワーク / 文化変容 / アイデンティティ |
Research Abstract |
上ビルマと中国雲南省との国境を越えて居住する中国ムスリム(回族)を分析対象とし、彼らが国境を越えて構築しているトランスナショルな社会空間に関する実証的研究を行うため、次のとおりの調査および研究を行った。 ◎調査 (1) 7月中に台湾において、雲南ムスリムが台湾とミャンマーのあいだで構築するトランスナショナルな社会空間に関する調査を行った。 (2) 9月前半に、中国雲南省において2週間のフィールドワークを行った。具体的には、雲南省巍山県において、イスラーム宗教教育の実態のに関する調査を行った。 (3) 2月に、ミャンマーにおいて雲南ムスリムの移民コミュニティにおける調査、およびミャンマー南部の中国系住民のネットワークに関する調査を行った。 ◎研究成果報告 (1) 11月に中国福建省において、上ミャンマーにおける中国ムスリムの文化変容に関する報告を行った。報告では、上ミャンマーでの調査に基づき、当該地域の中国ムスリムのあいだに見られる憑依現象に関して、彼らが説明する解釈体系とその治療に関する事例報告を行った。 (2) 12月に関西大学文化交渉学教育研究拠点において、上ミャンマーにおける中国ムスリムの文化変容に関する報告を行った。上ミャンマーにおける憑依現象を、当該地域の中国ムスリムが「夷地」という概念を用いて理解していることに着目し、彼らが憑依言説をとおして「他者(当該地域の他のエスニック・グループや宗教集団)」と取り結ぶ関係について考察した。 (3) 3月に国立民族学博物館において、中国ムスリム移民のライフヒストリーとアイデンティティに関する報告を行った。台湾に居住する中国ムスリム移民のライフヒストリー調査に基づき、移住地域における国籍や身証の取得などに対する、中国ムスリム移民の言説を通して、彼らのアイデンティティのありようを分析した。
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