2009 Fiscal Year Annual Research Report
雲南・ビルマ間における中国ムスリムの越境移動と宗教実践の変容に関する人類学的研究
Project/Area Number |
20720244
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 自 Osaka University, 人間科学研究科, 助教 (10390717)
|
Keywords | ミャンマー / 雲南系ムスリム / 越境移住 / 周縁 / 中国 / 植民地 |
Research Abstract |
(1) 具体的内容 調査:平成22年2月に、台湾において雲南系ムスリム移民のコミュニティ形成に関する調査を行うと同時に、在台湾雲南ムスリム移民に関する著書の出版について打ち合わせを行った。平成22年3月に、ミャンマーにおいて調査を行った。ヤンゴンにおいては国立文書館(National Archives)において、イギリス植民地期における中国系住民とくに、上ミャンマーにおける雲南ムスリムについてイギリス植民地政府が記述している文書の収集を行った。また、上ミャンマーのピンウールィンにおいて、ポストコロニアル期の雲南ムスリム移民のアイデンティティに関して、聞き取り調査を行った。 研究成果の公開:平成20年度に行った調査に基づき、平成21年度は国際会議において、本研究に密接に関係する発表を2回行った。台北(台湾)で行われたSociety for East Asian Anthropologyおよび、テジョン(韓国)で行われたThe International Convention of Asian Scholars 6において、植民地期におけるミャンマーで、雲南系の移民ムスリムが、中国と英領ミャンマー政府との間で極めて戦略的に振舞っていること、さらにポスト植民地期のミャンマーにおいて、ミャンマー軍事政権との間で極めて戦略的に振舞っていることを示した。 (2) 意義と重要性 今日中国とミャンマーとの間における経済的・政治的結びつきが拡大している。そうした結びつきの拡大に寄与している集団の一つが、本研究が調査分析している雲南系ムスリムである。彼らが中国とミャンマーという国家の間で戦略的に自己を主体化している様子を分析することで、今日の両国間を跨いだ具体的な人びとの動きを知ることができる。
|