2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国の葬儀改革に関する社会人類学的研究:国家と人々を媒介する分節集団の事例研究
Project/Area Number |
20720245
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田村 和彦 Fukuoka University, 人文学部, 准教授 (60412566)
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Keywords | 社会人類学 / 中国研究 / 生死学 |
Research Abstract |
本研究は中国における死者の処理をめぐって展開する葬儀改革について社会人類学的なアプローチを用いて研究を進めるものである。20世紀初頭から繰り返し行なわれてきた近代化の一環としての葬儀改革と、1949年以降の社会主義化のなかで進められている国家政策としての葬儀改革のもと、改革を行なう人々と改革の受け手である人々に焦点を当てることで、遺体の処理という生死の境界を新たに分割し意味を与えつつある、文化の受容をめぐる人々の実践を考察することを目的としている。 初年度にあたる20年度は、以下の作業を中心に行なった。 中国西北地域におけるもっとも規模の大きな殯儀館(セレモニーセンター、火葬場)の予備的調査を中心に研究を行った。おもに、施設の紹介、組織および各作業チームの紹介を受け、実際の仕事の状況を観察し、一部の作業に従事した。 これは、来年度の個別聞き取り調査のために必要であり、その意味で予備調査としての今回の作業を十分にこなすことができた。 近年の葬儀改革に関する文献の収集に努めた。とくに、書籍化、論文化されていない種類の文章(具体的には内部規則を成文化したもの、経験談集、行政文書の一部など)の基本的なものを中心に収集、検討し、次年度の調査への問題枠組み修正および実地調査への足がかりとした。 そのほか、中国における関連分野の諸研究(民俗学、社会学)のなかで、なぜこの領域に研究の蓄積が少ないのかをその背景を中心に検討する作業に着手した。
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