2009 Fiscal Year Annual Research Report
中華民国時期の上海・天津における不動産慣行―南北両租界と周辺域の物権と司法―
Project/Area Number |
20730010
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
加藤 雄三 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 助教 (20353451)
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Keywords | 中華民国 / 不動産取引 / 租界 / 天津 / 上海 / 公文書館 |
Research Abstract |
(資料収集)中華民国国都が置かれ民国時期の資料が集中して保管される南京(南京図書館及び中国第二歴史梢案館)において調査を行った。梢案電子化作業のため、二史館の資料公開は限定されていたが、現時点で南京において収集できる資料はほぼ入手しえた。イギリスは中国において最も長く中国各地に租界を設置した。そのため、National Archives所蔵のForeign Office ArchivesにはCrown Lease及びSupreme Court、領事裁判、外交交渉に関わる公文書が含まれている。これらをデジタルカメラ撮影により収集した。連合王国の資料は今後とも継続的に収集していく必要があろう。また、東京大学東洋文化研究所において、我妻栄旧蔵書を中心に収集を行った。 (研究)20年度に行った論点整理作業に基づき、上海と天津の不動産慣行と司法事案に関して比較研究を行った。『草稿』の分類に従えば(1)外国人の権益と本来すべき永租権問題については、ConcessionとSettlementの違いもさることながら、租界が早期に回収された天津市特別区における永租権の継続にも焦点を当てた。永租権に基づく取引の際に対象物である土地と建物は如何に観念され、司法の場ではどのように判断されたのか、判決に地域差は存在したのか、中国人による永租制度利用の地域差ということ等について詳細に考察した。考察の作業は22年度にも比較対象を増やして継続する。
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