2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730013
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中林 暁生 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (70312535)
|
Keywords | 人権 / パブリック・フォーラム / 表現の自由 / 公私 / 給付 |
Research Abstract |
本研究は,短期的には,アメリカ憲法学を素材としつつ,「私人間における人権保障」についての再検討を行うことを,長期的には,「規制と給付の二分論」を日本の人権総論に組み込んだ,「現代積極国家における人権総論」の再構築を行うことを,目的としている。 本年度は,「規制と給付の二分論」が克服されていく過程に関する研究と,「私人間における人権保障」に関する研究を行うことを予定していた。「規制と給付の二分論」が克服されていく過程についての研究として主に行ったのは,いわゆる「パブリック・フォーラム」論に関する研究である。本研究の問題意識から,「パブリック・フォーラム」論の展開過程についての研究を行い,人権論における「パブリック・フォーラム」論の理論的位置づけについて検討した。この研究を通じて,「私人間における表現の自由の保障」についての研究に着手するための視座を確立することができた。なお,この研究成果の一部として,中林暁生「伝統的パブリック・フォーラム」『法学』73巻6号(2010年)188頁以下がある。また,アメリカ合衆国における「違憲な条件の法理」の研究も行った。以上の作業を通じて,「規制と給付の二分論」を組み込んだ人権総論を具体的にイメージできるようになってきた。「私人間における人権保障」に関する研究としては,日本の代表的な最高裁判例だけではなく,下級審の裁判例に関する研究も行った。その過程で「私人間における表現の自由の保障」に関する日本の裁判例に関する研究も行った。以上二つの研究を通じて,「私人間における表現の自由の保障」に関する本格的な研究に着手する準備が整った。
|
Research Products
(1 results)