2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 祐介 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 准教授 (50304291)
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Keywords | 事業体課税 / 信託課税 / パートナーシップ課税 |
Research Abstract |
本研究は、個人年金に事業体課税論を拡張し、その課税のあり方を導管性の概念を道具としつつ探究し、課税モデルを構築・提案しようというものである。 しかし、これまで申請者が蓄積してきた事業体課税論に関する研究では、導管性の高い組合課税についての理論的蓄積は十分にあると思われるが、法人課税がなされる受益者不在信託のような現在のところ非導管性の高い取り扱いが行われている事業体についての蓄積が十分になされているわけではない。そこで本年度では信託課税、なかんずくアメリカ連邦所得税におけるnon-grantor trustについて研究を行い、特にDistributable Net Income(DNI)概念を基軸とした信託段階での課税と受益者段階での課税、及びそこに至るまでの制度的変遷と各制度の欠陥、あるべき課税モデルの構築の検討を行った。我が国税制の理論的・実務的蓄積を踏まえると、我が国における信託に対する法人課税導入は、(別のアプローチはあるにせよ)-つの賢明な成果と評価できる。 また上記研究遂行にあたり、導管性の高い事業体(外国パートナーシップ)に関して、国際課税及び地方税に関し、それぞれ国際課税の枠組みや地方税法の枠組みと整合性を欠く大きな税制上の欠陥を見いだした。それ自体理論的に研究するべき大きな問題ではあるが、同様の問題は導管性の低い事業体についても当てはまる可能性があり、その方向での検討がさらに必要であるとの知見を得た。 上記研究成果について、速やかに学術雑誌について公表する予定である(すでに研究成果をまとめて投稿している段階のものあり)。
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