2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 祐介 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50304291)
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Keywords | 事業体課税 / パートナーシップ課税 / 最低生活費保障 / 年金課税 |
Research Abstract |
本研究は、個人年金に事業体課税論を拡張し、その課税のあり方を導管性の概念を道具としつつ探究し、課税モデルを構築・提案しようというものである。 本年は事業体としてみた場合に個人年金課税をどのように構築するのか、立法論的検討を行うことを目的とする。私的であれ公的であれ、年金の特質とは、定期的に一定額の金銭給付が行われ、それにより受給者の生活が保障される(もちろん余裕があれば事業や投資の原資ともされうる)。したがって、(1)公的・私的問わず年金に対する課税はこのような生活保障の特質を織り込んだものであるべきであること(逆に生活保障を超えた部分については通常の所得課税の範疇で処理すればよく、特別の考慮は必要ない)、(2)年金以外に生活保障の特質を持つ金銭給付(給与所得が一番有名であろうが、勤労者以外の場合の投資所得や生命保険、相続すらも生活保障の性質を有する)をも含めて生活保障のあり方を考慮するべきである(そのための統一的な貯蓄勘定設定が考えられる)、(3)貯蓄の側面を持つ年金掛金(事業体への出資)は貯蓄として取り扱い、それ以外は所得税額計算上控除可能な現金支出(納税者間の移転)と扱う制度がモデルとして考えられる。 上記結論の基礎には、税(社会保険料含む)引後の手取額が一定額以上保障されているという意味での最低生活費保障の概念があり、本研究の最大の特質の一つである(例えば、この概念をカギとして給付付き税額控除の難点がみえる)。税法のみならず、社会保障法等周辺法領域においても有益な考え方と思われる(本年度研究成果の雑誌論文を参照されたい)。
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Research Products
(3 results)