2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松戸 浩 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (30292189)
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Keywords | 行政の実効性確保 / 行政強制 / 行政執行法 / 立法過程 / 司法権の限界 |
Research Abstract |
本年度は先ず、リサーチの範囲を行政の実効性確保と広く設定した上で、関係する内外の文献を収集検討することにより、問題点の把握に努めた。また関連法規の制定過程に係る史料状況を把握することに努めた。 イ. 行政上の義務の実現という問題は普遍的に存在するものであるので、各国の議論、就中行政法体系に基本的には共通する点の多いドイツのそれを把握することに努めた。これまで広岡隆らの先駆的業績を参照しつつも、近時日独双方で更なる議論の進展がみられることから、関係文献を収集把握すると共に日独の制度比較を行なっている。もっとも我国と異なりドイツでは行政主導による義務の実現が一般的に認められているところ、来年度はこの相違を踏まえた上で更に踏み込んだ検討を行なっていく。 ロ. 宝塚市パチンコ店条例事件最高裁判決をはじめとする関連判例の整理分析も並行して行なっている。同判決中特に学説の批判が向けられているのは国・地方公共団体を「財産権の主体等」と「行政権の主体」とに二分する点であるが、後者に係る国等と私人との関係については近時学説上分析の深化が図られているところである。来年度はこれも踏まえて、判例分析を深めていくこととする。 ハ. 関連法規の制定過程については、本年度は占領期の行政執行法の廃止・行政代執行法の制定過程を分析した。これらについては先行業績が殆んどみられないため、史料状況の把握から始めている。現在は国立国会図書館所蔵のGHQ/SCAP文書を中心に調べ、注目される史料も発見しているが、文書が膨大な上目録の整備が極めて不十分なため、まだ廃止・制定過程を網羅的に通覧できるには至っていない。更なる史料の渉猟及び分析は来年度の課題である。 ニ. 明治期の行政執行法については、関係する文献の把握に努めた。占領期の分析が一段落した後に、来年度は同法制定過程の分析に着手する予定である。
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Research Products
(1 results)