2011 Fiscal Year Annual Research Report
国民内閣制論の研究:その根拠に遡った内在的・批判的検討
Project/Area Number |
20730027
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小島 慎司 上智大学, 法学部, 准教授 (00468597)
|
Keywords | 国民内閣制 / 信用 / 責任 / 人格 / ルソー / ベルクソン |
Research Abstract |
交付申請書の「研究実施計画」に記載したとおり,本年度の前半には日本で,後半にはフランスで研究活動を行った。交付申請書の研究の目的のうち(1)これまでの研究成果を論文の形にまとめる,とりわけ信用と責任についての議論を精緻化することについては,第三共和政期におけるフランスでの大統領公選制を巡る議論についてのドラフトの完成度を高めることができたと思われる。今後,日本で公表を考えている。 しかし,とりわけフランスでの研究において進展があったのは,(2)変化(生成,運動)についての思想的研究を深める作業である。これは,(3)フランス人研究者との交流を通じて研究成果に海外からの刺激を与えることによるところが大きい。すなわち,この(2)のテーマについてはこれまではベルクソンを軸に考えてきたのであるが,フランスで,ルソーがこの問題をいかに考えており,それがその後のフランスにおいていかに継承された(あるいは,されなかった)かという視点を示唆され,この点についての調査を行ったところ,ルソーとベルクソンの発想に似たところがあり,それが第三共和政期において意識されていたことを知ったという成果を得た。これについては必ずしもフランスでも指摘がないように思われるので,フランス語の論文を執筆し,現在,推敲の最終段階にある。この論文については学術雑誌に投稿を考えている。また,日本でも,フランス法について,ルソー=ジャコバンモデルが語られるものの,本当にルソーとジャコバン主義が連結したものなのかを見直す意義があるように思われる。今後の研究において,そのことを主張する論文を執筆しようと考えている。
|
Research Products
(1 results)