2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730035
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
新井 京 Doshisha University, 法学部, 教授 (10319436)
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Keywords | 国際人道法 / 非国際的武力紛争 / 武力紛争法 / 文民 / 対テロ戦争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非国際的武力紛争 (NIAC) に適用される国際人道法の規則が最近著しい発展をみせているところ、そのような発展が国際的武力紛争(IAC)とNIACの構造的な相違をどの程度反映しているのか、反映していないとすればそこに決定的な問題がないのか、といったことを明らかにし、それによりNIACに適用される国際人道法のあり方を再構成しようとするものである。このような問題意識を持つ発端となったのは、赤十字国際委員会の「慣習国際人道法研究」であった。本年度は、問題意識を整理するために、まずこの「研究」に対する批判的考察を行い同志社法学(紀要)に掲載した。 本年度は、さらに、文民の定義および戦闘に参加する文民の地位に研究の焦点を絞った。IACにおいては戦闘員概念と文民概念は相互排他的にとらえられているが、NIACにおいては戦闘員という概念が存在しない。そこでNIACにおいて保護すべき「文民」がどのように定義可能であるかを検討したのである。特に対テロ戦争の文脈で、いわゆるテロリストが文民といえるのか、文民であるとすれば戦闘行為を行ったことによってどのような帰結を甘受することになるのか、そもそもそのような戦闘行為とはどのような行為態様をいうのか、といった観点から考察を加え、その結果を国際法学会において報告した。 また、上記のような検討の前提問題として、そもそも対テロ戦争といわれる軍事行動が武力紛争法上どのように位置づけられるのか、それは武力紛争であるのか、武力紛争であるならIACなのかNIACなのかを明らかにしなければならなかった。この問題も同じく国際法学会での報告においてとりあげ、さらにその報告を発展させた論考を同志社法学(紀要)に寄稿した。
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Research Products
(3 results)