2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730037
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長谷河 亜希子 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (00431429)
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Keywords | フランチャイズ / 反トラスト法 / 経済法 / 独占禁止法 |
Research Abstract |
フランチャイズ(FC)契約に関しては、第一に、契約締結前の情報開示が欠かせない。米国では、連邦取引委員会(FTC)法5条に基づきFC契約等の事前開示を定めたFTC規則が、多項目の情報を分かり易く開示する事を本部等に義務づけている。15の州にもFC契約の情報開示法があり、私訴制度が重要な役割を果たしている。日本のFC契約の情報開示規制は項目・詳細さともに不十分である上に、公取委や経産省などの行政も現行法を積極的に執行しておらず、私訴制度が必要である。第二に、日本にはFC契約約款の規制法がない。米国では17州でFC契約約款規制が行われている。このFC関係規制法に対する賛否は様々である。本部による解約等の際にはgood cause(正当な事由)が必要とする法が多いが、その定義の曖昧さ故に訴訟が避けられず高コストだとの否定的意見がある一方、本部の機会主義的行動が抑制される、現在の反トラスト法が審査から除外している諸問題の審査が可能となる、不公正な慣行の規制は州にとって非常に重要であり、連邦法の基準に合わせよというのは連邦主義を害することになるなどの擁護意見も多い。 また、good causeをめぐる紛争を避けるため、解約・終了の際には加盟店を本部や第三者が有償で買い取ることにより、加盟者が築き上げた有形無形の財産的価値を金銭評価するという形で利益分配が図られている場合も多い。いわば、FC法の存在が、そのような実務対応を生み出しているのである。日本では現在、加盟者が訴訟の際に頼れるのは民法のみである。加盟者に自らの権利確保を可能とする手段を付与し、本部と加盟者の利益配分に配慮するには、FC関係規制法が不可欠と考えられるとの結論に至った。
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