2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730039
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 妙子 Nagoya University, 法学研究科, 准教授 (50313060)
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Keywords | 社会サービスの利用関係 / 社会サービス争訟 / スウェーデン / 社会福祉 / 社会保障法 |
Research Abstract |
平成21年度は、前年度に引き続き、(1)国内の社会サービス争訟例の収集および分析、ならびに(2)スウェーデンの社会サービスにかかる新しい法律の制定・施行に関する調査を行った。 (1) については、前年度に引き続き、公刊裁判例の収集・分析を行った.介護保険法および障害者自立支援法の下での契約方式によるサービスの提供に伴い生じる法律問題について、介護保険契約・自立支援契約の特徴、サービス提供過程で生じる紛争の特徴、サービス解約をめぐる問題を総合的に検討した成果は季刊社会保障研究45巻1号(2009年6月発行)に発表した。また、個々の裁判例の分析・検討の成果も、随時、判例標尺として雑誌に掲載している。 (2) については、2009年2月にスウェーデン・ルンド市にて現地調査を行い、2009年から施行された「社会サービスにおける選択の自由に関する法律」の施行後の状況について聞き取りを行った。その結果、社会サービスにおけるプロバイダーの選択自由制を導入した後も、多くの高齢者が選択をせずにいること、高齢者とプロバイダーの問に契約が発生するという概念は芽生えていないことなど、日本と比較して非常に興味深い事象が明らかとなった。 以上の研究成果は、日本の社会サービスを巡る紛争を総合的に分析・整理するものとして先行業績にはない新規性を有し、今後の社会サービス争訟の解決方法を考える上でも重要性を有する。また、本研究は、高福祉国として注目されるスウェーデンの社会サービスの現状と課題をわが国に伝える点でも、重要な意義を有する。平成22年度には、スウェーデンの新法に対する現地での評価を中心に、研究を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)