2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730039
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 妙子 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 准教授 (50313060)
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Keywords | 社会法学 |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度に継続して、1.国内の社会サービス利用を巡る争訟例の収集・分析、2.スウェーデンの社会サービス利用を巡る争訟例の収集・分析に関する調査研究を行った。 1.については、公刊裁判例を中心に国内の紛争事例を収集・分析してきた。具体的には、自身が所属する各地の研究会において自分自身で判例研究を報告し、参加者からの意見を募るほか、他の研究者による報告から情報収集を行うために各地の研究会に積極的に参加を行ってきた。成果は随時、判例評釈等の形により発表している(後掲13雑誌論文1件目)。 2.については、今年度はマルメ市に設置されている地方行政裁判所を訪問し、社会サービスを巡る争訟の動向についてヒアリングを行ったほか、同裁判所で出された判決について資料を収集した。また、ルンド大学法学部を訪問し、同図書室において立法資料、最高行政裁判所の判決について収集を行った。同学部の研究者らとも面談し、LOV施行による社会サービス利用関係の変化および社会サービスに係る判例の動向についての意見交換を行った。これらの調査研究により得られた成果の一部は、現在、公表の作業を進めている(後掲13雑誌論文2・3件目)。なお、調査の結果、本研究の直接のターゲットとはしていなかった、社会サービス法に基づく生計扶助の支給に際して若年者に職業訓練の受講を義務付ける条文を巡り、興味深い法的問題が生じていることが判明した。この点については、平成24年度の科学研究費として採用された新たな研究計画において追求していきたい。 以上の研究成果は、日本の社会サービスを巡る紛争を総合的に分析・整理するものとして、今後の社会サービス争訟の解決方法を考える上でも重要性を有する。また、本研究は、高福祉国として注目されるスウェーデンの社会サービスの現状と課題をわが国に伝える点でも、重要な意義を有する。
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