2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品・農産物の品質確保と公的介入に関する比較法的研究
Project/Area Number |
20730042
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
蛯原 健介 明治学院大学, 法学部, 准教授 (00328973)
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Keywords | ワイン法 / EU法 / 社会法学 / 地理的表示 / 知的財産権 / 消費者保護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、食品・農産物の品質確保に関する諸外国の制度の特徴や課題を明らかにし、日本において導入可能な制度を検討することにある。そこで、平成23年度は、前年度に引き続き、国内の生産者や自治体と連携しながら、欧米諸国との比較をふまえつつ、具体案の提言を試み、その内容は、2011年4月に行われた「日本ワイン法制定研究会拡大公開会議」における講演「EUワイン法の概要と日本の課題」、2011年5月の日本洋酒輸入協会講演「ウイン法をめぐるEUの動向と日本の課題」および2012年2月の「日本のワイン造り手の会」における講演「EUワイン法からみた日本の課題」などで発表した。これらの講演は、官公庁関係者および日本を代表するワインメーカーを対象に行ったものであり、大きな反響があった。また、学内の学術雑誌である『明治学院大学法学研究』に「ワイン法の立法構想に関する若干の提言」を、『明治学院大学法律科学研究所年報』には「日本におけるワイン法制定に向けた検討課題」を発表し、いずれの論文も、業界関係者から高い評価を受けた。 日本ワインのEU向け輸出が進められているが、依然として、EUでは産地を名乗ることのできないワインとして取り扱われている。本研究では、産地表示のためには、現行制度の下での国税庁告示による方法に依拠して地理的表示の指定を受けることが不可欠であることを指摘してきた。これに応じて、ワイン酒造協同組合は本格的に検討を進めており、自治体も関係省庁との協議を行っているところである。解決すべき問題はなお山積しているが、本研究は、とりわけ山梨県内の事業者に大いに貢献するものとなったといえる。 なお、平成23年度までの主要な研究成果は、webページ(比較ワイン法研究室)で公表しているほか、一般の消費者に対する情報提供として、雑誌『ワイナート』でワイン法関係の論文を連載中である。
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