2008 Fiscal Year Annual Research Report
性犯罪者の再犯防止対策の現状と課題-包摂型対策と排除型対策の比較と検討を通して
Project/Area Number |
20730049
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
平山 真理 Hakuoh University, 法学部, 講師 (20406234)
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Keywords | 性犯罪対策 / メーガン法 / アダム法 / 社会包摂 / 修復的司法 |
Research Abstract |
2008年度は、バルセロナで開催された第15回国際犯罪学会、また第9回日本司法福証学会において、我が国の性犯罪対策の現状と展望について報告し、会場等と活発な意見交換ができたことは有意義であった。また、海外調査は、7月にバルセロナ市にある、性犯罪受刑者専用の開放刑事施設を観察し、同施設の性犯罪受刑者外部通勤プログラムについて説明を受ける機会を得た。また3月には、米国オレゴン州の保護局を訪問し、保護観察中の性犯罪者の再犯防止のためのThe Containment Approachについてこれに携わる専門家から詳細な説明を受けた。これらはいずれも、性犯罪者に対する充実した社会内処遇として評価することができ、我が国において性犯罪前歴者対策を今後どのように展開させるかについて大きな示唆を得た。オレゴン州ではさらに、性犯罪事件を多く担当する弁護士から、性犯罪事件裁判におい被害者や被告人に弁護士としてどのような法的支援を行うべきかについ意見交換をする機会を得た。これらは、我が国でも被害者参加制度や裁判員制度が導入される中で、刑事手続における被害者の視点にどのように配慮すべきかについて学ぶところが大きかった。更に、同州ではDVの被害者支援組織、Volunteers of Americaを訪問し、同州のDV被害者支援の特長について説明を受ける機会を得たが、DVや性犯罪被害者支援組織についてのより詳細な調査が今後必要であるとの示唆を得た。また、国内における性犯罪対策の検討については、性犯罪被害経験者や実務家、研究者などから専門的知識の提供を受けたことの意義が大きかった。2009年度はさらに、国内の刑事施設、保護観察所などで実施されている性犯罪対策プログラムの現状を検討する予定である。また、2009年度も国内外での学会で報告の機会を持つとともに、専門家を招聘し研究会等を開催することで、このテーマについて社会に情報発信することにも力を入れたいと考えている。
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