2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730055
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
福田 健太郎 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (00451477)
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Keywords | 人権条約 / ヨーロッパ人権条約 / 民法 / 民事法学 |
Research Abstract |
本研究は、フランスの判例・学説の動向とヨーロッパ人権裁判所の判例を分析することで、ヨーロッパ人権条約と民法をめぐる、現時点におけるフランスの法状況の一端を明らかにすることを目的とするものである。 21年度は、まず、8月に「ヨーロッパ人権条約をめぐる近時破毀院判例の動向」という小論稿を弘前大学人文学部の紀要(人文社会論叢社会科学篇)に公表した。これは20年度の研究成果をまとめたものであるが、賃貸借契約、労働契約においてはもとより、不法行為法の領域においても、ヨーロッパ人権条約の規定を援用する形で結論を導いている判決が存在することを確認することができた。 その後は、ヨーロッパ人権裁判所の判例法理を分析するという実施計画に沿って、文献調査を中心に研究課題の検討を行った。具体的には、フランスの法律文献やヨーロッパ人権裁判所のデータベースなどを参照し、ヨーロッパ人権裁判所判例の収集、分析を試みた。また、これと平行して、ヨーロッパ人権裁判所判例について論じる日本の法律文献の収集及び人権条約と私法の関係について検討している日本の文献の収集も行った。所属機関に所蔵されていない文献が多いので、新規に購入するほか、他大学に赴いて、調査・収集にあたった。ヨーロッパ人権裁判所判例に関して得た知見は既に日本で紹介されているものが多く、その点では成果の乏しい年度となったが、公表できるものについては可能な限り公表していく予定である。
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