2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730055
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
福田 健太郎 近畿大学, 法学部, 准教授 (00451477)
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Keywords | 人権条約 / 民法 |
Research Abstract |
本研究は、フランスの判例・学説の動向とヨーロッパ人権裁判所の判例を分析することで、ヨーロッパ人権条約と民法をめぐる、現時点におけるフランスの法状況の一端を明らかにすることを目的とするものである。22年度は、研究実施計画に従って、文献の調査を中心に研究課題に取り組んだ。具体的には、(1)フランスの破毀院判例の蒐集・分析、(2)関連する日本の判例・裁判例、文献の蒐集と分析である。(1)については、legifranceを活用するとともにシンポジウム資料(後に講演録として出版されたもの)、判例評釈などから必要な判例を蒐集し、破毀院のヨーロッパ人権条約14条に対する態度を明らかにすべく、それらの分析を試みた。(2)については、以前に蒐集した裁判例を整理するとともに、新たに雑誌論文を中心に蒐集を行った。今年度の成果については、まず、8月に発行される青森法政論叢において、(1)の部分の成果の一部を公表する予定である。ヨーロッパ人権条約をめぐる破毀院判例についてはその多くが社会部からのもので、かつ、そこで検討されている問題も社会給付についてのものが多く、民事法領域への示唆も限定的なものにとどまるが、民事部からもヨーロッパ人権条約14条を用いて結論を導く判決が下されており、一定程度の意義は見出せるものと考えている。(2)の部分については、既に類似の研究が複数公表されていることから、当該部分を単独で公表することには困難が伴うが、現在構想段階にある隣接領域における研究から得られる成果とセットで公表することは可能であると思われるので、隣接領域の研究を急ぎたいと考えている。
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