2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 智予 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (70313062)
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Keywords | 非営利法人 / ガバナンス / ファイナンス |
Research Abstract |
平成20年度前半は、在外研究のメリットを生かして政治経済学の視点からする営利法人について分析し、研究実績においてはその知見を非営利企業に活かすことを試みた。また、平成20年度後半においては、金融のほか農業や医療などの分野において同様の知見を活かすことを提唱し、研究会等で発表を継続した。 実績の公刊は遅れており、交付申請書において平成20年度中に発表予定とした非営利企業のガバナンスと法人-信託に関する分析論文は、現時点で本年度の原稿提出予定であり(トラスト60研究叢書所収予定・平成21年3月原稿締切)、また、平成20年度まで学術創生プロジェクト(現在科研(A)「持続性確保に向けたガバナンス改革と政策プロセスマネジメント」として継続中)の一環として、共同研究を進めてきた非営利法人ガバナンス一般に関する研究成果(共著書として出版予定)も、各メンバーのスケジュール調整が難しく、凍結されている。そのため、直接に非営利企業についての分析をタイトルとした研究実績はとくにない。 もっとも、端的にはコーポレートガバナンスを題材とするものの、2008年度前半の研究の知見を活かすものとして、オーストラリアの研究者との共著になるCorporate governance in the 21st century : Japan's gradual transformationが出版されている。研究者は同書において1つの章を担当し、中小企業のガバナンスの在り方を規定する社会の変化、社会の一部としての法の影響、これを反映した現在の中小企業の活動状況および今後の展望について分析を行った。その意義は、会社のガバナンスを法的視点からのみとらえがちな日本の法学を超えた分析枠組みを、外国への紹介という場を通じて実現するところにある。このような手法をとることで、ガバナンスの抱える問題点や、営利性や事業の効率性の有無とガバナンスの関係を記述しやすくなる。上記2つの原稿においても、同様の視点が分析に活かされている。
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