2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 亘 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 准教授 (00282533)
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Keywords | 民事法学 / 企業組織法 |
Research Abstract |
本年度に進行した研究は、大きく分けて3つのものがある。第1は、当初の研究実施計画に従い、英国の買収規制、とりわけ自主規制であるシティ・コードに関する研究を進めたことである。研究方法としては、コードとそれに関連する研究論文(邦語および英語)の文献を精読したほか、日本証券経済研究所の「英国M&A制度研究会」に参加し、同国の現地調査をする機会を得た。これ照の調査を通じ、英国のM&A規制の全体的なイメージをつかむことができたと考えている。それは、「同国経済に強力な影響力をもつ機関投資家により構築され、共同ボイコットの『脅威』によってエンフォーサビリティが確保されている、株主主権を徹底した自主規制の体系」というものである。こうした研究で得た知見は、次年度以降、論文の形で公表したいと考えている。 第2は、わが国の買収法制、とりわけ買収防衛策に関する法制度につき、研究を継続した。とくに本年度は、経済産業省の企業価値研究会が、買収防衛に関する新たな提言をまとめた報告書を公表したため、これについて研究し、法律雑誌に論文として公表した(11. の研究成果参照)。そこでは、本報告書がよって立つ基本的な立場は、米国のデラウェア州の判例法理であるとの見方を明らかにしたうえで、米国のポリシーをわが国の法制において実現するうえでの課題をいくつか提示した。 第3に、買収法制に関する実証的研究として、法政大学の胥鵬教授と共同で、防衛策と株式持合いに関する研究を進めている。この研究成果は、次年度に研究論文の形で公表する予定である。
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Research Products
(1 results)