2010 Fiscal Year Annual Research Report
保証契約の基礎理論に関する研究:フランス法との比較を中心に
Project/Area Number |
20730063
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
能登 真規子 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (60378429)
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Keywords | 民事法学 / 保証人 |
Research Abstract |
保証契約はもともと片務性・無償性を備えており、保証人と債権者との間の権利義務に不均衡を生じさせる契約である。しかし、保証人にのみ保証債務が生じるといっても、法律の規定により生じるのではなく、保証人自らがその意思により、そのような保証契約を締結したことに基づく。そのため、保証人の慎重な判断を期待した、保証契約に書面の作成を求める2004(平成16)年の民法改正(要式契約化)以上に保証人の保護を考える必要がないともいうのも一つの考え方であり、わが国の法制度は、現時点において、そのような構成をとっている。 ところが、近時、ドイツ、フランス等では、とりわけ、個人が経済的な破綻に直結するような自分自身の資力に見合わない額の保証債務を負担してしまうような場合に、かなりふみこんだかたちで、判例上あるいは制定法上の保証人保護が図られるに至っている。わが国でも、実際のところ、個別事案においては、信義則や公序良俗規範により保証人の責任減縮が図られることがある。しかし、一般条項を介するものであるという性質上、法適用の実態把握のための定式化が不可欠であった。本年度中に執筆した後掲論文においては、身元保証契約の締結に類似した状況下でなされた保証額の定めのある連帯保証につき、身元保証法を介することにより、保証人の責任制限を行った裁判例につき検討した。 この領域については、なおいっそうの類型化を進める必要があるものの、本研究の成果も、わが国の保証法制度の相対的な位置づけを示すことで、保証契約に対する各種の規制を考えるうえでの一定の役割を果たしたものと考える。
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