2009 Fiscal Year Annual Research Report
「当事者の自己に不利益な陳述」を通じた紛争定義権能に関する基礎的考察
Project/Area Number |
20730064
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八田 卓也 Kobe University, 大学院・法学研究科, 准教授 (40272413)
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Keywords | 民事訴訟法 / 有理性審査 / 二分肢説 / 訴訟物理論 / 不利益陳述 |
Research Abstract |
平成21年度においては、ドイツにおける不利益陳述状況の処理に関する理論の展開と、訴訟物理論の展開の関連性に研究の重点を置いた。 その結果下記のような知見を得た。 ドイツにおいては、現在、有理性審査により不利益陳述状況を処理する見解が圧倒的多数説である(有理性審査説)。この見解においては、原告はまず、自己の請求する権利を、自己の主張する事実により基礎付ける責任を負う。原告の主張する事実から原告の要求する権利が導き出せない場合には、被告側の主張を待つまでもなく原告の請求は棄却となる。 他方ドイツにおいては、訴訟物理論としては、いわゆる二分肢説が多数説である。二分肢説は、生活事実関係(Sachverhalt)と申立て(Antrag)により訴訟物は特定されるという。 両者は重なり合う関係に立つ。すなわち、生活事実関係と申立てにより訴訟物が特定されるゆえに、原告は自己の主張する事実により申立ての内容であるところの権利主張を基礎付ける責任を負うのである。このことは、訴訟物の特定要素である生活事実関係は、原告によって主張されたところのそれであることを意味する。これは、訴訟物が原告による訴え提起段階で特定されていなければならないこと、処分権主義により訴訟物の特定は原告の権限とされていることと対応する。 すなわち、二分肢説と有理性審査説からなる訴訟理論においては、訴訟は、原告の主張した事実から原告の主張する権利が導き出せるかどうかを検証する場であると考えられているということができる。
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Research Products
(4 results)