2009 Fiscal Year Annual Research Report
コーポレート・ガバナンスにおける役員報酬規制の意義
Project/Area Number |
20730073
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
尾崎 悠一 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 准教授 (90376393)
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Keywords | 民事法学 / コーポレート・ガバナンス |
Research Abstract |
2年目に当たる平成21年度は,役員報酬規制についての,比較法的検討を行うとともに,日本法についての従来の学説・判例の検討・分析を行った。 比較法的検討については,前年度に引き続き,アメリカにおける役員報酬についての裁判例の整理・分析と,役員報酬についての学説の整理・分析を行った。さらに,米国を中心に最新の立法動向・議論状況の把握のために調査・研究を行った。2008年9月のいわゆるリーマン・ショック後の金融危機に対しては,アメリカ・ヨーロッパなど各国での対応と同時に,G20等において国際的な対応がなされ,金融機関の規制強化が図られている。中でも,金融機関の役員報酬規制は重要な規制内容の一つである。そこでは,金融機関のコーポレート・ガバナンスという形で,より具体的な議論・検討の材料が提供されているが,広く会社一般のコーポレート・ガバナンスの問題にも通じる有益な議論・検討を見つけることができる。金融機関の役員報酬規制については,立法に向けた議論が進行中であるが,この議論は,役員報酬についてどのような規制を設けることがどのような形でコーポレート・ガバナンスの改善につながるのかを正面から議論するものであり,この議論を調査・検討することは本研究の目標とするところに到達するためには有益である。今年度の研究により,今後の立法動向の観察・研究の基盤を構築することができたものと考えられる。 また,日本法の研究に際しては,日本における実務の動向に配慮することが当然ながら重要である。日本の場合,従業員兼務取締役が少なからず存在することから,その労働法的な側面について一定の検討をすることも重要である。この点の研究は,今年度の段階においては,極めて部分的なものではあったが,後掲の成果は,会社法が労働法的な利益にも配慮する場面について,わが国の裁判例を検討したものである。
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Research Products
(1 results)