2011 Fiscal Year Annual Research Report
複合的契約関係における部分的解消の法理に関する研究
Project/Area Number |
20730074
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
寺川 永 関西大学, 法学部, 准教授 (50360045)
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Keywords | 契約 / 解除 / 抗弁の接続 / 消費者 / 実効性の確保 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度以降、研究テーマであるわが国における複合的契約関係の法律問題を考えるにあたって、当事者の法的地位の関わりを強く意識するようになった。また、裁判例の収集については昨年度までが中心となっていたが、クレジット契約での抗弁の接続に関連する最高裁判決も昨年10月にあらわれるなど、今後もその動向を捉える必要性があると考える。 昨年度に行った海外研究者の来日講演原稿の翻訳の公表を行った。それぞれのテーマは異なるものの、EUにおける完全平準化の流れ、その中心となる消費者権利指令について焦点を当てている点では同じで、いずれもEU、消費者法および私法のヨーロッパ化という共通の方向性を有するものであることが確認された。また、法教育に関して、中高生あるいは大学生の初学者に向けた書籍において民法の役割について論じ、公表する機会を得た。そこでも、クレジット契約など複合的契約関係における問題は、いまだ消費者取引を中心に問題点が残されていると思われる。部分的解消法理の構築には、消費者としての法的地位の考慮も不可欠ではあるが、これをどのように結びつけるかについて今年度の課題としたが、なお検討の余地があるといえるだろう。 本年度の研究実績によって、複合的契約関係における部分的解消法理に関する研究についてさらに展開を続ける準備が整った。代表的なものは「役務提供契約」である。役務、すなわち「サービス」の多様性と相まって、今日のわが国おける消費者契約としてのサービス取引について今後注目するに値すると考えている。その意味でも、本研究を数年にわたって継続して得た利益は大きい。
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Research Products
(5 results)